おにいちゃん

電車の中からホームをながめると、立ち食いそぼ屋があった。
通称駅そば。丸井はみんな駅のそば、とは意味が違う。
白い三角巾をしたおばちゃんが見えた。
あのおばちゃんの前職も立ち食いそば屋だろうか。
KIOSKのおばちゃんは、前職は何だったんだろう。
旅館の仲居さんとか、一昔前のパチンコのカウンターはみんなおばちゃんだった。
ぼくはおばちゃんにとても受けがいい、そんな自慢はどうでもいい。
お姉さんが同じ職を続けて、おばちゃんになったのと、おばちゃんになってからその職に就いたのとあるだろう。
就職したことのないぼくはすべてバイトだが、パチンコ屋には2種類のおばちゃんがいた。
カウンターのおばちゃんと、従業員のまかないのおばちゃん。
タイプが全く違う。カウンターのおばちゃんは料理などできなそうなタイプ。
どちらかというと、かなり水商売っぽい。
当時大学生のウブなぼくを捕まえて、「これ私のつばめ」などと腕を組んできた。
「つばめ」というボキャブラリーが増えた。お小遣いはもらっていない。
このおばちゃんは、ずっとパチンコ屋を流れてきたのかな、などと思った。
その世界のおばちゃんは、ずっとその世界にいるのだろうな。
旅館の仲居さんなどもそうなのだろう。
パチンコ屋はすごい世界だった。
窓のない寮の部屋に、本当にカバンひとつで渡り歩いている人がいた。
新聞を1年契約してテレビをもらって翌月引っ越したと自慢していた。
今やカウンターにおばちゃんがいるパチンコ屋を探す方が大変なくらい。
おばちゃんの働く場もせばまっているかもしれない。
反対に、マクドナルドにおばちゃんがいて驚くことがある。
その世界のおばちゃんはぼくを「おにいちゃん」と呼ぶ。
おばちゃんは、自分より年下はすべて「おにいちゃん」なのだ。
そして自分より年上は「おにいさん」なのだ。
実はおばちゃんが「おじさん」と呼んだときはばかにしているのだ。

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