ふた昔前の元旦

高校一年の12月31日の夜8時頃、そのとき仲の良かった同級生の女の子から電話があった。
「海が見たいの」
海が見たい、という器量の女の子ではなかったが何となく断れず、親に怒られながら出かけた。
なぜか東京駅を発車した横須賀線は終夜運転の列車だった気がする。
空白の数時間は何をしていたのだろう。まったく覚えていない。
鎌倉で降りて、鶴岡八幡宮でも行ったのだろうか。
これまた終夜運転の満員の江ノ電に乗って江ノ島に向かった。
これまた数時間の空白があり、初日の出を見て、足を滑らせ片足を濡らしながら帰路に着く。
今度はギュウギュウの湘南モノレールで帰った記憶がある。
東京駅から一緒にバスで帰り、家に着いたのが10時頃だったろうか。
当時、母方の親戚で元日は集まっていた。
そんなもの参加したくない年頃だったが、仕方がない。
新年早々、ものすごい叱られて祖父母の家に行った気がする。
そのままつきあうような感じになっていたが、そこで恋のライバル(彼女には)が現れる。
前から交流があった2つ上の少しカワイイ先輩とトントン拍子でつきあうことになった。
当時は誠実だったので、彼女に打ち明けてえらく責められた。
その時の彼女と結婚し、そんなはずもなく信教の違いで別れることになる。
考えてみると、年上の彼女はこのとき限り。
あれからはつきあう前に「何か信じているものある?」と聞くようになった。
そんな彼女は今やどこかの病院で看護師さんのはず。
そういえば、最後に勤めていると聞いた病院にお見舞いに行くことがあったので聞いてみた。
「ここで20年くらい前に働いていた看護師さんなのですが…」
「そんな昔のことはわかりませんねえ、看護師が何人いると?おとといいらしてください」
そうは言われなかったが、今調べてみると看護師さんが580名もいる病院。
東京ER…

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