この3月で、九州へ行く寝台特急はやぶさと富士が廃止になる。
電気機関車が寝台車を引っ張る形式は、東京駅から姿を消す。
また、夜行快速ムーンライトながら大垣行きも、季節臨時に格下げになる。
九州へ向かう寝台特急はたくさんあって、ぼくが知っている限りでも、あさかぜ、さくら、みずほなどがあった。
はやぶさと富士は下関までひとつの列車として運転され、分割されてそれぞれの目的地に向かうようになった。
寝台特急の場合、車掌は通しであるいは途中で交代することはあるが、機関車の運転士はだいたい90分から2時間で交代する。
たとえば、はやぶさは東京発18:03、途中26駅に停車して次の日の11:49に熊本に到着する。
時間にして17時間46分。最低でも8人くらいの運転士が交代で運転する。
また、関門トンネルを通るときには機関車をつなぎ替えたりもする。
寝台を解体する人たちが今でも途中から乗り込んでくる。
想像以上にコストがかかっている。
なによりも、もう時代に合っていない。
熊本までいくら乗り換えがないとはいえ、誰が18時間もかけてゆくのだろう。
カーテン一枚で他人が寝ている寝台のベッドに、6300円も支払わなければいけない。
熊本まで、24150円もかかるのだ。新幹線と特急利用で時間が8時間、料金はほぼ一緒。
前売りをうまく利用すれば、スカイネットアジア航空なら1時間半で11000円から。
寝台特急はいつ乗ってもほとんど料金は変わらない。
夜行列車は停車駅すべてで駅員が起きていないといけない。
そんな人件費がかなりかかると聞く。
昼でも十分移動できてしまう時代に、わざわざ一晩以上もかけて移動する必要がなくなってしまった。
哀愁だの、旅情だの考えると夜行列車は魅力的だが、これも時代の流れだと思う。
大学受験で長崎に行くときに、寝台特急さくらに乗った。
夕方6時頃東京を出て、長崎に着くのがちょうど昼頃。
そういえば、死んだ祖父は特急列車の車掌だったから夜行列車の車掌だったんだな。
今ならお酒を飲みながらどんなにか楽しい話が聞けたのに。
「ご乗車ありがとうございます。この列車は特急はと、大阪行きであります」
乗ってみたかった。