問9 1億2000万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。
また、Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため、相続人となることができない。この場合における法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Dが4000万円、Eが4000万円、Fが4000万円となる。
2 Dが1億2000万円となる。
3 Dが6000万円、Fが6000万円となる。
4 Dが6000万円、Eが6000万円となる。
問題文中の強迫とは、民法用語で強迫とは無理強いをして相手の意思決定を妨げること、脅迫は刑法用語なので少し違う。
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
- 第887条
- 被相続人の子は、相続人となる。
- 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
Bは相続を放棄していて、相続権を失ったのではないので代襲相続しない。だから、子Eは相続人にはならない。
相続放棄→子は代襲相続しない
Cは廃除されているので、子Fは代襲して相続人になる。
相続欠格→子は代襲相続する
Eは0だから、選択肢2と3が残り、DとFで2分の1ずつ6000万円の3が正解。
常識的に考えるとちょっと腑に落ちない。自分の父が祖父の相続を放棄したら自分は1円ももらえず、自分の父が強迫して相続人になれなくても、その子どもは相続人になれる。
おかしいじゃないか、と言ってみても法律はそんなもので、すべて条文にないからで終わる。
相続は奥が深く、条文もかなりの数があって、あらゆる想定をしているように感じる。亡くなった人の最後の意思を尊重すること、それが遺言のすべてだから複雑になるのも仕方がない。