内田百閒先生著、阿房列車の有名な一文。
一等(いまのグリーン車より上)に乗って、行きは用事がないが帰りは帰ってくるという用事ができる。二等は中途半端でつまらないし、一等で帰る金もないので三等にしようと。
旅先で観光も何もしない、だから阿房列車と呼ぶが当人はそう思ってはいない。
この気持ち、旅のスタイルが自分によく似ている。きっぷがあるから出かけよう、この列車に乗りたいからここに行こう、という発想が基本。海外旅行も例外ではなく、鉄道があるかないか、長距離列車が走っているかどうかで決めている。旅先で形にならないから、一応旅行業を営んでいるので行かないわけには行かないので観光地には出かけることはあるが、入場料・入館料が高ければ容赦なく入らない。後悔しない自信があるので旅のスタイルは変えない。
阿房列車では駅弁や売店、車内でけっこう惜しみなく買い物をするが、旅先でおいしいものを食べたという記述は少ない。これも同じだ。その場で朝捕れた魚介類やそこにしか自生していない山菜などは食べるに値するが、ほとんどは東京や横浜で食べられる。現地で食べるからこそ、というがそういうことも感じないので行かない。それより、こんな高いのに…と残念に思う方が嫌だ。
中には同じような人もいるだろうし、みんな自分できっぷを買ったり宿の手配をするわけではないだろうから、この少数派にアプローチしてみる。
高速バスで日本一周を考えたが、どうしても一周にならないところはフェリーを利用した。
そのツアーに参加してもらうというより、面白いと思ってくれる人を増やしたい。
もちろんそれを仕事につなげたい。