目の前の磯子駅に電車が非常を表す警笛を鳴らしながら進入した。
すぐに列車無線を聴いてみると、防護無線発砲(非常時でまわりの列車をすべて止める無線)し、人身事故発生だった。
見てみると、ホームに入ったすぐのところで電車が止まってる。
無線では20〜30代の女性だそうだ。数分経って、レスキューと救急車が到着した。
列車の4両目あたりでレスキューの人たちが救護を行っている。
救護といっても、到底助かっているはずもない。
負傷者(現場検証の関係上負傷者と言い続ける)をいったんホームの反対側に運び、列車の運転再開を第一に作業は進む。
飛び込んだ現場あたりでは、フラッシュがたかれ証拠写真が撮られている。
列車は所定の停止位置まで移動され、そのまま大船に向けて発車した。
運転士は飛び込む瞬間も見ているはずでもしかしたら目も合ったかもしれない。
どんな気持ちで運転するのだろう。無線での声は沈みきっていた。
ストレッチャーに載った遺体(無線では負傷者)が救急車に運ばれ、サイレンをつけることなく走っていった。
この間およそ40分。何事もなかったように緊急車両たちも去っていった。
ここでひとりの人間の生涯が終わった。
生きていればきっといいことあったのに。
どんなに辛いことがあったのだろう。
誰も彼女を助けてあげられなかったのか。
そんな彼女に同情する人も少なく、乗客や関係者はただ迷惑な出来事ですべて終わった。
線路の目の前の市原に住んでいたときも人身事故が発生して、一連の処理を目の当たりにした。
今も川越線で人身事故が発生した。
無線を聴いていると、毎日何人もが命を絶っている。
病気や事故で死にたくなくても死んでいく人がいる中、自ら命を絶ってしまう人もいる。
こんなにたくさんの人が自殺してしまう世の中は絶対間違っている。
切り捨てるのは簡単だが、そんな人たちは救えないのだろうか。
悲しすぎる。