太田和彦さんの本をはじめて読んだ。なんとなく文体がいい感じ。
2016年に出版されたものなので比較的新しい。
まだはじめの部分で、まったく共感した部分があったので紹介したい。
天丼で季節を食す
若き日はカツ丼が王者だったが、年齢を重ねて天丼が素晴らしいと思うようになったという話。天丼が賞賛されていて、次の一文がまったくもってその通り。
天ぷら屋で「天ぷらコース」をとってみたが、天ぷらばかりが次から次に出てくるのに閉口して二度と行かなくなった。天ぷらだけを食べても案外おいしくないというのが私の感想だ。しかも天つゆではなく塩をすすめるのもつまらない。塩で食べる天ぷらは油の匂いが消えなく、天つゆにたっぷり浸して表面の油を流し、衣が濡れてこそおいしい。したがって天丼だ。(16ページ)
一度だけひとり1万円の天ぷらコースを食べたことがあったが、もちろんおいしいのだけれど、もういいかなと。太田さんのいうように、エビからはじまって、季節の野菜などそのたびに塩で食べろだの天つゆで食べろなど指示されるし。
あれで天ぷらはあまり好きではないな、と思った。お寿司なら飽きないのに。
塩で食べるというのもマイナス要因。いくつかを塩でというのは納得できるが、あのときは半数近くか半数以上を塩で食べることになった。野菜の天ぷらを塩で食べても満足度が低い。居酒屋で天ぷらを注文するときも、塩でと書いてあったら注文しない。何とか野菜(たとえば鎌倉野菜)の天ぷら、などもがっかりすることが多い。
吉田類さんは芸術家出身、太田和彦さんはデザイナーではあるけれど会社員出身。切り口や感性が違うのでおもしろい。